いやー、今思えば、チャロくんの伝説級のやらかしている動画をしっかり収めておけばよかったなぁと・・・。対応に必死で動画なんて頭からすっぽり抜けていました(笑)悔やまれます。
ダックスの仔犬なら大丈夫だろうと甘く見ていた数週間前の自分に文句を言ってやりたい気持ちになりました。本当に、早く連れてきてくださってよかった。油断していた自分に大反省でした。
幼稚園の初体験日が終わり、それからチャロくんを2回ほどお預かりして、チャロくんのややこしさに毎回驚かされました。
チャロくんは叱られる度にどこかを怪我したフリをするか、吠えるか、叫びまくるか、噛み付いて、とにかく自分の思い通りにならない度に発狂をしていました。
これは……4ヶ月半の仔犬じゃない……。私は愕然としました。
まるで甘やかされて数年が経ちすっかり性格が拗れてしまった成犬のようでした。
神経質で、我が強く、知能が高い・・・。
トレーニングに時間がかかるのではないかと思い、週に2回の登園をオススメしました。曜日は火曜日と土曜日。お母さんはすぐに週2回くることを決意してくださいました。
「お母さんの決断力すごいなぁ~」と本当に思います。
チャロくんはとても頭がいい。どうすれば人が自分の言うことを聞くかよく知っている。相手に罪悪感を抱かせるのが得意で、人を操るのが得意でした。逆に、人が自分にコントロールをかけていると気がつくと、一切抵抗して指示も何も聞かないという態度を徹底していました。
何度も言いますが、これが生後4ヶ月ちょっとの仔犬の姿なのです。
マニュピレーターの気質を持つ犬
初めてチャロくんのトレーニングで「おいで」のトレーニングをした時のことです。
最初の2回目までは「おいで」と言うと嬉しそうに走って来てくれました。オヤツをもらって食べて、可愛がってアピールをするチャロくん。だけど、また直ぐにもう一度、「おいで」と呼ぶと、次は「いやいやいや、君がおいでよ」と言わんばかりにその場で寝そべって可愛がってアピールをはじめました。そして、それが通じないと分かり、さらにこれが自分を動かすためのトレーニングだと理解したチャロくんは、断固として動くのを拒否。オヤツからも顔を背けました。
「君が言うこと聞くまで僕は動かないよ。オヤツにも騙されません」そんな心の声が聞こえてきます。
いや、もう、君マジでヤバイわ(笑)
流石の私もドン引きでした。頑固で我が強くて拒否する子たちも今まで見てきましたが、それとは違った異質な空気を出していました。
「マニュピレーター」というパーソナリティー“人格”があります。
マニュピレーターとは人を支配したがる気質を持った性格の人のことを称する言葉です。
特徴としては、自分の思い通りにならないと相手が自分の思い通りに動くように怒ったり、時には泣いて相手に罪悪感を抱かせたり、平気で嘘をついたりして、相手の心を上手く操ることが得意です。これは「パーソナリティー」の一つなので、大人だけでなく、小さな子どもでもこのような人格を持つ子が存在します。
チャロくんはまさにマニュピレーター気質の犬のようでした。
対策はただ一つ、徹底して相手の要求を聞かないこと。どんなに泣き叫んで、仮病を使って脅されても、攻撃されても絶対に相手の要求に応じないこと。断固として自分の意思を相手に伝え切るということが大切です。
私もチャロくんに対して毅然たる態度で臨みました。
すると、チャロくん、サラッと態度を変えて、今度は驚くくらい媚びたように擦り寄りはじめました。
「うーん・・・、それも違う!!」
擦り寄ってはくるのですが、自分の要求を通すための行動なので、決してこちらに譲歩したわけではなく、ただどうすれば私が自分の言うことを聞くか試しているようでした。チャロくんがすり寄ってきた時に、こちらが要求を出せばそれは拒絶するか絶叫です。
私は君との対等なコミュニケーションを望んでいるのだ。媚びて欲しいわけではない! そう思いながら、引き続き、私は彼に対して毅然たる態度を続けることにしました。
根比べであることはわかっていました。チャロくんが諦めるのを待つしかないということもわかっていました。だけど、もしかして私が厳しすぎるのだろうか?と心に罪悪感を抱いてしまうくらい彼は恨みったらしい目で私を見ていました。
今まで何頭も仔犬のトレーニングを行ってきましたが、ハウストレーニングは大体10分あればできるようになります。どんなに頑固な子でも2回もやれば完璧になるとても簡単なトレーニングです。
それが、チャロくんはこのハウストレーニングすらできないのです。仮にハウスに一度入ったら頑なに出てこようとしない。一切、こちらの誘導には屈しない姿勢を貫いていました。
ある意味本当に芯が強い(笑)
私は精神力はまぁそこそこある方らしいです。もともと精神力があったわけではありません。子どもの頃はとても神経質で傷つきやすくてデリケートでした(笑)だけど何度も何度も人間関係に揉まれてドン底を経験して経験して経験尽くした結果、今では適性検査で「精神的に強めで多少のストレスは問題ない」と表記されるくらい、人並み以上にタフさがあるらしいです。
そんな私の心が折れそうになりました。
チャロくんと私の根比が続きました。
なかなか思い通りに動かない現実。
恨みったらしい顔を続け、すっかり拗ねてしまい部屋の隅でジッと過ごす日々が続くチャロくんに「いやいや、泣きたいのはこっちですから」と思わず言ってしまいました(笑)
「こんなことは初めてです(笑)だからお母さんが大変なのは仕方がないと思います!」お母さんにお伝えすると、
「なんかもう、どんどん伝説を残してしまってすみません」とお母さん。
だけどチャロくんとのこの1ヶ月間の格闘は私にとっても新たな経験となる良い時間だったと思っています。
絶対に、活き活きした目で、しっかりと人を信頼して良いコミュニケーションが取れる子に育てるんだ! 私の決意は高まりました。
そしてついに……