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愛犬との距離感を間違えると吠えやすい犬に育つ?!

今日はトリミング写真の紹介ですが、その前に・・・

先日、読んだ本の内容がとても面白くて、最近の犬のしつけでとてもご相談の多いトラブルの原因が見えたので少しだけシェアします。

「団結がいじめを生んで、愛情が強いほど攻撃性が高まり、仲間を大切にすることが戦争とリンクしている」衝撃的だけど、脳科学的な理論で、とても腑に落ちて、納得のいく内容でした。

最近は脳科学が発展してきて、今までの心理学の理論が覆されることも増えてきたりしています。この本を読んだら、「人がいじめをやめられない理由と犬がお散歩で吠える原因が同じかもしれない」という面白い理論に辿りつきました。

ヒトはいじめをやめられない

本書では『ヒトは「いじめ」をやめられない』というタイトルで、内容は脳内ホルモンが人の感情にどのように作用するかということを心理実験の研究データなどを元に脳科学視点から解説されています。

ヒトは「いじめ」をするための機能が予め脳内に組み込まれているので、誰でも加害者になる可能性を秘めているそうです。具体的な機能には「裏切り者検出モジュール」「サンクション」と言う学術的名前がついているそうです。だけど、なぜ、そのようなことが起こるのかを知っていれば少なくとも、自分が加害者に立つということは阻止できると思うのです。また、「いじめ」や「争い」の起こりにくい環境を作るために役立つと思います。

人間関係のアレコレでも役立ちそうな本なのですが、この本を読んだら、「犬のしつけ」でよくある悩みの、散歩中に吠えるとか来客に攻撃的になるという犬達の問題を脳科学的な視点で納得のいく理論が見つかりました。

幸せホルモン「オキシトシン」のダークサイド

「オキシトシン」と言うホルモンの名前を聞いたことのある方は多いと思います。別名「幸せホルモン」とか「愛情ホルモン」と呼ばれています。

女性はこのオキシトシンの分泌が多くて、出産時や子育て中のお母さんはオキシトシンが増えます。他にもハグやキス、スキンシップでも増えると言われています。犬も同じようにこのオキシトシンの分泌があります。飼い主さんに撫でてもらったり、抱っこしてもらったりするとオキシトシンが増えます。

オキシトシンは、信頼関係を育成したり、親密性を高めたり、結束感を高める役割があって、オキシトシンが増えると幸福感が高まると言われています。

これだけ聞くと、とても良いホルモンに思えるのですが、実はオキシトシンにはダークサイドがあります。それは「敵に対する攻撃性を高める」というものです。この場合の「敵」と言うのは「自分とは違う集団に属する者」という意味です。

つまりオキシトシンは「仲間意識を強める」作用がある代わりに排他的になってしまって仲間以外を受け入れにくくなるという副作用があるということです。

これは人間が集団で社会を形成して生きていくために必要なことだったから。仲間を守るために敵を攻撃するという本能があるんですね。

犬が他人や他の犬に攻撃的に吠えやすくなる理由

このオキシトシンの作用が人と犬でどれくらい違うかの研究はまだされていないので、絶対確かというわけではありませんが、犬も非常に社会性の高い生き物で、集団生活する生き物であるということを考えれば、やはりこの理論が適応されると思います。

出産後の母犬は攻撃性が高まっていると言われることからも、やはりオキシトシンの作用は人も犬も対して変わらないのだと思います。

実際に抱っこばかりしている飼い主さんの犬ほど、外で吠えたり攻撃的になる子が多いのも納得がいきます。

私は「犬をすぐに抱っこするのを止めてください」とよく言っています。

お散歩中に出会った犬や人に吠えた時に抱っこをするのはもってのほかで、より攻撃性が高まる可能性が高いからです。私はこれを「守られているという安心感から気が大きくなるから」なのではないかと考えていたのですが、この本を読んでそれも認識違いだったことに気がつきました。

オキシトシンはスキンシップによって脳内から分泌されます。オキシトシンは仲間意識を高める作用があるので、犬を抱っこするという行為はその場で、飼い主と犬との仲間意識を高めているということになります。そうすると、部外者:敵(お散歩で出会った人・犬)に対して攻撃性がより高まるので、余計に吠えてしまうわけですね。仲間意識をドッグトレーニング的に表現すると「テリトリー意識」と言われているものに近いかもしれません。

愛犬との距離感を大切に

『過度なスキンシップ→オキシトシンが増える→仲間意識(テリトリー)が高まる→敵に対する攻撃性が生まれる』

犬と過度にスキンシップをとったり、ベッタリくっついていたり、抱っこばかりしていたり、膝の上でずっと寝かせているなど、愛犬との距離が近すぎると、日頃からオキシトシンの量が増えて、仲間意識(テリトリー)がどんどん強くなっていきます。そうすると他人や他の犬に対して排他的になってしまいます。執着心や嫉妬心も高まります。情緒的にあまりよろしくないです。

犬を抱っこしたり、犬とひっついていると、人もオキシトシンが分泌されるので、例えばストレス過多な人や神経質な人は、オキシトシンの効果で心が満たされて癒されます。だからついつい、愛犬との距離が近くなってしまいがちです。

飼い主は癒されるのですが、その副作用は「愛犬の攻撃性」に変わると思えば、愛犬に頼らず「自分の機嫌は自分でとるbyミヤゾン」という意識を持った方が良いかもしれません。

愛犬とは適度な距離を保ち、お互いに自立した関係性を築いていくことが大切ですね。

ちなみに、この本では、ママ友のいじめが酷くなるのもこのオキシトシンの影響が強いと書かれていて納得でした。

愛情ホルモン・幸せホルモンであるはずのオキシトシンにこんなダークサイドある。何事も裏と表があるということで(笑)

  • この記事を書いた人

亀川紗希

Studio Inucocoro/代表 愛称vivi。犬育てアドバイザーとして犬の飼育について美容・健康・運動・食事など様々な指導を行い、幅広い知識と実践で培った経験によるアドバイスが支持されている。トリマーであり、ドッグトレーナーの指導係。愛犬はトイプードル5頭、ボーダーコリー1頭、猫2匹

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